趣意書

ドームシャッターを開いたTMT 完成予想図画像提供:国立天文台TMT推進室

私たち「クラブTMT」は、宇宙の謎を解き明かす次世代超大型望遠鏡TMTの建設を応援します。

「我々は何処から来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」この問いかけはゴーギャンのみならず、人々が共通に持つ疑問です。いま、天文学はこのような壮大な問いかけにある程度は答えることができるようになりました。
 ガリレオが望遠鏡による天体観測を始めて400年。より大きな口径を持つ望遠鏡は、より暗く遠い天体―したがってより過去の宇宙の姿―を見ることができます。ガリレオが使い始めた口径4cmの望遠鏡が現在では10mもの巨大望遠鏡へと発展しています。

PDS 70 の原始惑星系円盤の
巨大な隙間画像提供:国立天文台

望遠鏡という観測手段を得た天文学は20世紀に入ると凄まじい勢いで発展しました。大型望遠鏡が相次いで建設されるようになったからです。宇宙膨張の発見、さらにはそれまで可視光で見ていた静的な宇宙像は、紫外線、エックス線、ガンマ線、あるいは赤外線、電波などあらゆる波長域による地上や衛星からの観測と高エネルギー宇宙線の観測によって、爆発する星や銀河、巨大ブラックホールなど動的で凄まじいエネルギーに満ちた宇宙の姿へと変貌しました。1995年には太陽以外の恒星を周る惑星、系外惑星が発見されました。現在では850個を超える系外惑星が確認され、さらに2,700個ほどの系外惑星候補が見つかっています。電波による宇宙背景放射の観測からは、ビッグバン宇宙の誕生からおよそ137億年経過していることも明らかになりました。こうして私たちの抱く宇宙への素朴な疑問に対する理解の枠組みを大まかに描けるようになったのです。

銀河団 A2390 方向の暗黒物質マップ画像提供:国立天文台

一方、近年の宇宙観測は私たちが考えもしなかったような宇宙の姿もあぶり出しました。銀河回転や銀河団の研究から、私たちの知らない暗黒物質(ダークマター)が普通の物質の5倍以上もあることが明らかになりました。さらに、宇宙空間の膨張が現在、加速していることが分かり、未知のエネルギー(ダークエネルギー)が想定されるようになりました。宇宙では物質とエネルギーの多くはダークマターとダークエネルギーが占め、原子で構成される普通の物質は全て集めても宇宙全体の物質とエネルギーのたった5%程度でしかないということが分ってきました。

私たちの体や身の回りに存在する元素のうち、水素、ヘリウム、リチウム以外の全てはビッグバン以降に誕生した星ぼしの中での核融合反応や超新星爆発によって生まれました。天文学者はいまや宇宙の歴史や進化をビッグバンにまでさかのぼって描こうとしています。

宇宙を加速的に膨張させているダークエネルギーの正体はどのようなものか?
星や銀河が最初に輝きだした宇宙の夜明けのようすはどのようなものだったのか?
地球のような生命の存在する惑星はどこにあるのか?

こうした新たな疑問に答えるための研究が、世界中で繰り広げられています。

マウナケア山頂の望遠鏡群とTMT 完成予想図画像提供:国立天文台TMT推進室

このような大きなテーマを解明するための切り札は、口径数十メートルクラスの次世代超大型望遠鏡の建設にあると考えています。もはや一つの研究機関で建設できるレベルではありません。現在、世界で幾つかの国際プロジェクトが進行しています。日本の国立天文台はアメリカ、カナダ、中国、インドと協力し口径30mの次世代超大型望遠鏡を、アメリカ合衆国ハワイ島マウナケア山頂へ建設することを計画しています。現在活躍中のすばる望遠鏡の隣に2021年に完成することをめざしています。この計画のなかで、日本は望遠鏡本体の製作や、30m主鏡製作、さらに主要な観測装置の開発など、プロジェクトの中心的役割を担うことが検討されています。

この希望に満ちた国立天文台の次世代超大型望遠鏡建設計画の推進を図るため、私たち天文ファンの有志は、多方面からメンバーを募り応援団を結成することとしました。開かれた会ですので、皆様もどうぞ会員登録していただき、一緒に応援していただきたいと思います。

2012年10月29日

代表:本間 隆幸(府中市郷土の森博物館)

趣意書

会則

名称

  • 第1条 本会は、クラブTMT(英文ではClub TMT)と称する。

目的

  • 第2条 本会は、国立天文台TMT推進室が進める次世代超大型望遠鏡(TMT)の建設推進を応援するために設立された勝手連であり、会員が主体的に関われるさまざまな方法によって、宇宙の謎解きに必要なTMT計画の推進を応援することを目的とする。

活動

  • 第3条 本会は、前条の目的を達成するため、次に掲げるような活動を行う。
    1. TMT計画紹介用コンテンツの開発・制作と配布、およびその利用。コンテンツとは、具体的にはポスター、チラシ、映像などを含む。
    2. TMT計画に関する展示、講演、サイエンス・カフェなどのイベントの実施や支援。
    3. TMT計画への応援メッセージや募金等の呼びかけなど、国立天文台TMT推進室の広報・アウトリーチ活動へのサポート。
    4. TMT計画関連グッズの制作と販売。
    5. その他、TMTの建設推進に役立つと思われる事項の実施。

構成員

  • 第4条 本会は、第2条及び第3条の趣旨に賛同し、クラブTMTに主体的に関わる個人をもって構成される。なお、本会は国立天文台TMT推進室とは独立した任意団体である。

役員及び職務

  • 第5条 本会は、幹事を若干名会員の中から選出する。
  • 2 幹事より代表1名、副代表1名を互選により選出する。
  • 3 副代表は代表を補佐し、代表に事故あるとき又は代表が欠けたときは、代表の職務を代理する。
  • 4 第1期幹事の任期は、第1回本会幹事会開催日から、平成25年12月31日までとする。その後は、1年間とする。再任は妨げない。
  • 5 幹事の任期中に変更が生じた場合、当該幹事が後任者を推薦、引き継ぐものとし、その任期は前任者の残任期間とする。

幹事会

  • 第6条 幹事会は、第2条の目的を達成するために、全体及び共同で行うべき事業計画の立案・推進、予算・決算、会員からの提案企画の承認、ならびに全体の連絡調整を行う。
  • 2 幹事会は、代表が必要に応じてこれを招集する。
  • 3 幹事会の議事は出席者の過半数をもって決し、可否同数の時は代表の決するところによる。
  • 4 幹事会は、オブザーバーとして国立天文台職員に出席を依頼し、本会の活動について意見を求めることができる。

会員

  • 第7条 第2条および第3条の趣旨に賛同する個人・法人は、だれでも本会の会員となることができる。

活動期間

  • 第8条 本会の活動期間は、第1回本会幹事会開催の日から国立天文台TMT推進室が進める次世代超大型望遠鏡(TMT)の建設が終了するまでとする。その後の活動の継続の有無については、その時点で判断する。ただし、TMT計画が完了または廃止になった場合、本会は解散する。

会計

  • 第9条 クラブTMTの活動に要する費用は、会員が必要に応じて本活動のために拠出する予算、クラブTMTへの寄付金、その他グッズ販売の収益等によって支弁する。
  • 2 資産管理の方法は、幹事会が定めるものとする。会計期間は第5条の4に定める期間と同じとする。

会計監査

  • 第10条 幹事会は、会員の中から会計監査にあたる者を2名、選任する。
  • 2 会計監査にあたる者は、会計監査の結果を年度ごとに本会に報告する。本会の年度終わりは毎年12月31日とする。

清算手続き

  • 第11条 第8条に定める活動期間の経過後、本会の清算手続きを行う。

解散

  • 第12条 清算手続きの結了をもって、本本会は解散する。

規約の改廃

  • 第13条 規約の改廃は、幹事会に諮って決定する。

その他

  • 第14条 この規約に定めるもののほか、クラブTMTの運営について必要な事項は、幹事会が別に定める。

附 則

  • 1 この規約は、平成24年10月29日から施行する。

会則

幹事

氏名 所属
代表 本間 隆幸 府中市郷土の森博物館
副代表 高畠 規子 (株)リブラ
小関 高明 姫路科学館
岸 篤宏 杉並区立科学館
柴崎 勝利 多摩六都科学館
坪内 重樹 なかのZEROプラネタリウム
渡辺 真由子 千葉市科学館

※2013年2月22日現在